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非常勤から常勤へのキャリアアップでつまずきやすいポイントとは?

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学童保育所で働くスタッフ (以下、学童支援員と表記) の業務内容は多岐に渡りますが、最も重要な仕事の一つは「こどもたちが安心して過ごせる居場所をつくること」です。家と学校以外の”第3の居場所”といわれる学童保育所において、日々こどもたちを見守る学童支援員の仕事は、こどもたちや保護者、ひいては社会にとって非常に重要で大切な役割を果たしています。
そんな学童支援員の多くは、非常勤スタッフであるといわれています。
アルバイトやパートとして短時間勤務でシフトに入ったり、こどもたちと遊んだり、おやつを提供したり、育成室の環境整備を行ったりと、非常勤スタッフは学童運営に欠かせない存在です。人数が限られる現場において、日々の活動を支えているのはこうした非常勤スタッフの力に他なりません。
一方で、「非常勤スタッフとして経験を積んできたけれど、次は常勤スタッフとしてキャリアアップしたい」と考える方も少なくありません。経済的な理由や家庭の事情、ライフステージの変化を踏まえて、「より責任ある立場で挑戦したい」と考える人も増えてきています。
しかし、いざキャリアアップを目指すと「なかなか常勤スタッフになれない」という声や「常勤スタッフになったけれど、想像以上に大変で悩んでいる」という声も少なくありません。
本コラムでは、非常勤スタッフから常勤スタッフへのキャリアアップでつまずきやすいポイントについてまとめていきます。

1. 非常勤スタッフと常勤スタッフの違いは何?
まず最初に理解しておきたいのは、非常勤スタッフと常勤スタッフの働き方には明確な違いがあるということです。多くの場合、常勤スタッフは月ごとに定められた労働時間以上働くことが求められ、非常勤スタッフはシフト制で希望の曜日・時間帯に働くことができます。
また現場で担う役割にも大きな違いがあります。非常勤スタッフの場合は、こどもたちと遊んだり日常の活動をサポートしたりする役割が中心です。こどもたちと一緒に笑い、一緒に遊び、時にはケンカの仲裁をする。そんな風に、こどもたちと近い距離で日々を共に過ごします。こどもたちの表情の変化やちょっとした成長に真っ先に気づくことができるのも、非常勤スタッフならではのやりがいといえるでしょう。
一方で常勤スタッフになると、日々のこども対応だけではなく、保護者との面談や行政への報告書類作成、スタッフのシフト調整など、運営に深く関わる役割が増えます。様々な事務作業を担うことが多くなるため、単にこどもたちと遊ぶだけではなく、現場全体を見回して責任を持ち、物事を決定していく立場になるのです。
このように、非常勤スタッフと常勤スタッフでは求められる役割や責任の範囲が大きく異なってきます。つまり、いくら非常勤の経験が長く優秀であったとしても常勤スタッフに求められるスキルが不足していると、キャリアアップの際にギャップを感じやすくなり、つまづいてしまう可能性があるのです。
2. キャリアアップでつまずきやすいポイントは?
非常勤スタッフから常勤スタッフを目指す時に、学童支援員は一体どのような場面でつまずきやすいのでしょうか。具体的なポイントを確認していきましょう。
1. 経験の質の違い
非常勤スタッフとしていくら長く働いていたとしても、その経験の多くは”補助的な役割”に偏りがちです。具体的にはこどもと一緒に遊んだり、おやつの提供をしたり、育成室内の清掃をしたりといった業務が挙げられます。
もちろんそのような業務によって得られる「こどもたちと関わる時間」や「スキル」は非常に大切なのですが、常勤スタッフに求められるのは「保護者対応」や「様々なイベント活動の企画運営」、「スタッフ全体のマネジメント」といった”運営側の視点”です。
「こども対応は得意だけど、保護者から相談を受けたことは少ない」
「イベントを1から企画し、実施をした経験がない」
「スタッフやチームをマネジメントする意識が無い」
このような経験の質の違いによって生じてしまうギャップがあると、いざ常勤スタッフを目指すときに壁を感じやすくなります。
2. 必要となる資格や研修不足
学童支援員は資格がなくても働けますが、常勤スタッフとなると資格の有無が重視されることが多いのも現実です。特に「放課後児童支援員認定資格」は常勤スタッフへの昇格条件になることが多いです。また、保育士資格や教員免許を持っていればキャリアの幅が広がります。
「放課後児童支援員」の資格取得自体は難易度の高いものではありませんが、非常勤スタッフで忙しく働く中では、研修や資格取得に手が回らずにいる…というケースもよくあります。
また、スキル面でいうと「パソコンの基礎的スキル」を身につけていないと苦労する可能性が大きいです。
実は学童の常勤スタッフは、自治体(役所)などに提出する事業計画書や報告書、イベントの企画報告書など多くの書類を作成する必要があり、事務作業に時間を割く場面が格段に増えます。
また近年はICT導入によってお便りや連絡帳、登所管理がデジタル化してきている施設も多くあるため、常勤スタッフを目指す上では最低限のPCスキルやデジタルリテラシーを会得していることが求められるでしょう。
しかしながら、非常勤スタッフはそういったICTに関わる研修受講の機会が限られており、「自分にはハードルが高い」と感じてしまう非常勤スタッフも多く存在するようです。
3. 人間関係とチームマネジメントの壁
常勤スタッフになると、共に働く仲間=これまで同じ立場で一緒に働いていた非常勤スタッフのことをまとめなければならない立場になります。昨日まで同僚だった人や、自分よりも経験年数が長い非常勤スタッフに指示を出したり、時に指導をしたりする必要が出てくるわけですが、なかなか簡単なことではありません。
しかし、気を遣ってしまってうまく指示が出せずにコミュニケーションが円滑に図ることができなくなると、組織・チームとしてのバランスが崩れてしまうため、バランスをとりながらマネジメントをしてく必要があるのです。
さらに、保護者との面談や学校との調整、時にはクレーム対応なども任されるようになり、人間関係のストレスは一気に増えます。「こどもと関わることが好き」で始めた仕事が、「人間関係に追われる毎日」になってしまう可能性があるのです。こども以外の要因で心がすり減る…というギャップは、常勤スタッフにとって大きな悩みとなります。
4. ワークライフバランスの崩れ
非常勤スタッフの頃は自らが希望したシフトに合わせて柔軟に働くことができていたという人も、常勤スタッフになると勤務時間が長くなり、なかなか希望通りに休みを取れなくなってしまう場合があります。特に夏休みなどの長期休暇期間は朝の8時から夜の19時まで毎日勤務をしなければならない…といった状況が発生する可能性があり、家庭や子育てとの両立が難しくなった結果、ワークライフバランスが崩れ、頭を悩ませる学童支援員も少なくありません。

3. スムーズにキャリアアップするための工夫
上記のようなつまずきを防ぐためには、非常勤スタッフとして働くうちから少しずつ準備をしていくことが大切です。
まず、放課後児童支援員の資格やICTに関わる研修は「そのうち取ろう」ではなく、非常勤スタッフの段階から計画的に取り組んでおくと安心です。時間に余裕があるときに自ら情報をキャッチしにいき、積極的に学んでおくことで、然るべきタイミングで常勤スタッフにキャリアアップできる可能性が高まります。
また、日々の業務で「任されたことだけをやる」という環境から一歩踏み出し、自分からイベントの企画を提案したり、職員MTGで意見を発言したりと、主体性を持った行動を心がけてみましょう。常勤スタッフとして必要となる経験を少しずつ積むことができます。
職場で常勤スタッフとして働く仲間に相談し、リアルな声を聞いてみることも非常に役立ちます。想像だけではわからない大変さや働き方を知っておくことで、心構えができますし、自分の生活や家庭の状況を考慮しながら「本当に自分は常勤スタッフとして働くべきなのか、働きたいと思っているのか」を再度検討することもできます。
併せて、「将来的に常勤を目指したい」と周囲の仲間 (特に上司) に常日頃から伝えておくことで、推薦や研修の機会を得やすくなるかもしれません。想いを言葉にすることで、いつかやって来るチャンスを逃さず掴めるようになるのです。
まとめ
非常勤スタッフから常勤スタッフへキャリアアップする道には、責任の重さ、人間関係の変化、必要となる資格や経験・スキルの不足、生活リズムの変化…など、たしかにいくつもの壁が存在します。
しかしながら、非常勤スタッフとして積み重ねてきた時間と経験は無駄になるわけではなく、必ず常勤スタッフでの働きに生かされます。こどもたちと日々関わり、現場を支えてきた経験は、何よりも大切な土台です。
大切なのは「常勤スタッフを目指したい」という想いを、日々の行動に少しずつ反映していくこと。資格を取る、勉強をする、自分の意見を提案をしてみる、上司に相談をする…。そうした一歩一歩が、キャリアアップへの確かな準備になります。
非常勤スタッフから常勤スタッフへの挑戦は、学童支援員にとって大きな転機です。つまずくこともあるかもしれませんが、その過程で得るものは必ずあなたを成長させてくれるはずです。こどもたちの放課後を支える大切な存在として、ご自身のキャリアを前向きに築いていきましょう。
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