心理学系の知識を活かせる児童福祉の仕事は?【臨床心理士・公認心理士】

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療育

キャリア

発達支援

心理学

公認心理士

臨床心理士

未経験

転職

児発

放デイ

心理学の知識を活かして子どもたちの成長を支える仕事は多岐にわたります。特に療育の現場では、心理学の専門知識が求められる場面が多く、臨床心理士や公認心理士の資格を持つ人々が活躍しています。本記事では、心理学系の資格を活かせる就職先を具体的にご紹介します。

臨床心理士の資格取得

1. 指定大学院(修士課程)での履修

臨床心理士の資格を取得するためには、日本臨床心理士資格認定協会が指定する大学院(第一種または第二種指定大学院)に進学し、以下の分野の単位を修得する必要があります。

必修科目(基本科目)

  • 臨床心理学基礎科目心理学概論発達心理学人格心理学心理統計・研究法
  • 心理査定・診断知能検査(WAIS、WISC、田中ビネー知能検査など)人格検査(ロールシャッハ・テスト、TATなど)行動観察・心理アセスメント
  • 心理療法・カウンセリング技法認知行動療法(CBT)来談者中心療法精神分析的心理療法家族療法・集団療法
  • 心理臨床実習大学院附属の心理相談室でのカウンセリング・心理アセスメント附属機関または関連病院・学校・福祉施設での実務経験
  • 研究論文の作成臨床心理学に関する研究を行い、修士論文を執筆・発表

2. 修了後の実務経験

修士課程修了後、臨床心理士資格試験を受験するためには、以下のいずれかの実務経験が求められます。

実務経験の要件

  • 修士課程修了後、1年以上の心理臨床業務に従事すること
    (例)病院、クリニック、学校、福祉施設、企業のメンタルヘルス部門 など
  • ただし、「第一種指定大学院」の修了者は実務経験なしで受験可能
    ※「第二種指定大学院」修了者は、1年以上の実務経験が必須

3. 臨床心理士資格試験の受験

上記の要件を満たした後、日本臨床心理士資格認定協会が実施する資格試験(筆記試験・口述試験)に合格することで資格取得が可能です。

公認心理士の資格取得

公認心理士の資格取得には、「大学+大学院ルート」 または 「大学+実務経験ルート」 のいずれかを満たす必要があります。

1. 大学(学士課程)での履修単位

公認心理士の受験資格を得るためには、文部科学省が定めた指定科目の単位を取得する必要があります。

必修科目(計36単位)

  • 心理学の基礎科目(8単位以上)心理学概論発達心理学学習・認知心理学統計・研究法
  • 心理的支援(8単位以上)カウンセリング概論臨床心理学行動療法・認知行動療法(CBT)
  • 心理査定・アセスメント(6単位以上)心理検査(知能検査、人格検査)精神医学
  • 関係行政論(4単位以上)教育・福祉・医療における心理職の役割
  • 心理実習(6単位以上)学校、病院、児童福祉施設などでの実習経験が必須

2. 大学院(修士課程)での履修

公認心理士の受験資格を得るには、大学院でさらに専門的な学びを深める必要があります。

必修科目(指定大学院)

  • 心理支援・カウンセリングの実践
  • 心理アセスメントの応用
  • 心理学研究の発展(修士論文)
  • 臨床実習(300時間以上の実務経験)

3. 実務経験

  • 大学院ルートの場合:修士課程の間に300時間以上の実習経験が必須
  • 大学+実務経験ルートの場合:大学卒業後、2年以上の実務経験が必要
    (例)医療機関、教育機関、福祉施設、企業のメンタルヘルス部門 など

このように専門的な資格を取得することで、学童や療育における職業の選択肢の幅やキャリアの幅が広がります。次に資格を活かして活躍することができる仕事4選を紹介します。

①児童発達支援センター

仕事内容

児童発達支援センターは、発達の遅れや障がいのある未就学児(0歳~6歳)を対象に、日常生活や社会性の発達を促す支援を行う施設です。心理士は、以下の業務を担当します。

  • 行動観察とアセスメント:発達検査(新版K式発達検査、田中ビネー知能検査、WISCなど)を用いて、子どもの発達状況を評価します。
  • 個別支援計画の作成:検査結果や観察をもとに、子ども一人ひとりの課題や特性に応じた発達支援プログラムを作成します。
  • プレイセラピー・ソーシャルスキルトレーニング(SST):遊びを通じて、言語・運動・社会性の発達を促します。
  • 保護者支援:保護者とのカウンセリングを通じて、子どもの育て方や発達をサポートする方法を助言します。
  • 関係機関との連携:医療機関、幼稚園・保育園、福祉機関と連携しながら、包括的な支援を提供します。

この職種では、公認心理士臨床心理士の資格が求められます。さらに、発達心理学や行動分析学(ABA)に関する知識、知能検査の実施・評価スキル、プレイセラピーやSSTの実践力が必要です。保護者とのカウンセリング能力も不可欠で、安心感を持ってもらえるような関わり方が求められます。

②放課後等デイサービス

仕事内容

放課後等デイサービスは、障がいや発達特性を持つ小学生~高校生を対象に、放課後や休日に療育支援を行う施設です。心理士の主な業務は以下の通りです。

  • 個別支援計画の作成・実施:子どもの特性に応じた目標を設定し、適切なプログラムを提供します。
  • 情緒面・社会性の支援:感情のコントロールやコミュニケーション能力を高めるためのトレーニングを実施。
  • 行動療法(ABA・TEACCHなど):子どもの行動特性に合わせて、適切な介入を行います。
  • 保護者へのフォロー:家庭での関わり方について助言し、日常生活の支援方法を提案します。
  • 関係機関との連携:学校や医療機関、福祉サービスと連携し、包括的な支援を提供します。

この職種では、公認心理士や臨床心理士の資格が必要で、児童発達支援管理責任者の資格があるとより有利です。発達障がいに関する専門知識や行動分析のスキル、支援計画の立案能力、保護者やスタッフとの円滑なコミュニケーション能力が求められます。

③児童相談所

仕事内容

児童相談所では、虐待やネグレクトなど家庭環境に問題を抱える子どもたちを支援します。心理士は以下の業務を担当します。

  • 心理査定・カウンセリング:心理検査を用いて子どもの心の状態を評価し、適切な対応を決定します。
  • トラウマケア:虐待を受けた子どもへの心理的支援を行い、回復をサポートします。
  • 家庭訪問・保護者支援:家庭の状況を確認し、保護者に対する支援を行います。
  • 他機関との連携:警察・医療機関・児童養護施設と協力し、子どもを守る体制を整えます。

家庭訪問を通じて親子関係の問題を把握し、必要に応じて保護者指導を行います。警察、医療機関、児童養護施設などと連携し、子どもの安全を第一に考えた支援を提供します。公認心理士や臨床心理士の資格が必須であり、児童虐待対応の専門知識や、トラウマケアの技術、危機介入のスキルが求められます。

④特別支援学校

仕事内容

特別支援学校では、知的障がいや発達障がいを持つ子どもたちが学びます。心理士は以下の業務を担当します。

  • 学習支援:個別のペースに合わせた学習方法を提案します。
  • 情緒・行動面の支援:ストレスを軽減し、安心して学習できる環境を整えます。
  • 教師との連携:担任教師と協力し、教育計画を作成します。

集中力が続かない子どもには、小刻みな休憩を挟むスケジュールを組む、視覚支援を活用するなどの子どもに応じた工夫が大切になってきます。また、情緒面の安定を図るためのメンタルケアを実施し、学校生活を安心して過ごせるよう支援します。

公認心理士や臨床心理士の資格が必要で、特別支援教育に関する知識や、個別指導計画(IEP)の作成スキル、教師や保護者との円滑な連携能力が求められます。

まとめ

心理学の知識を活かせる職業は多岐にわたりますが、特に療育の現場では、心理士の専門性が求められます。資格を取得し、スキルを磨くことで、より専門的な支援が可能になります。

それぞれの職業には異なる役割がありますが、共通しているのは「子どもたちの健やかな成長を支える」ことです。自分に合った職業を見つけ、心理学の知識を活かしながら社会に貢献する道を選んでみてはいかがでしょうか。

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