【学童保育】新規オープンのタイミングで入社するやりがいと注意点とは?

【学童保育】新規オープンのタイミングで入社するやりがいと注意点とは?

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 学童保育所は、こどもたちが安心して過ごせる大切な「放課後の居場所」であり、保護者にとっても働き続けるために欠かせない「社会的インフラ」です。

 そんな学童保育所は昨今、共働き家庭の増加にともなって全国的に需要は高まっており、新しい施設の立ち上げが次々と行われています。そのため、学童保育所で働くことに際し「新規オープンのタイミングで入社する」という場面・選択肢も急増しているのです。

 オープニングスタッフとして施設の立ち上げに関わることは、ただの就職や転職以上に多くの意味を持つことになります。

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 実施プログラムや施設運営のマニュアルをゼロから考え、形にしていく経験は非常に貴重である一方で、運営が軌道に乗るまでの大変さや経営面での不安定さ、体力的な負荷といった課題もあります。
すなわち「やりがい」と「リスク」が背中合わせな環境、といえるでしょう。

 本コラムでは、新規オープンの学童保育に入社するメリットと注意点を整理してまとめていきますので、これから学童保育業界で働くことを検討している方や新規立ち上げにチャレンジするべきか迷っている方は、ぜひ参考にしてくださいね。


新規オープンのタイミングで入社するやりがいは?

 まずは、新規の学童保育所立ち上げに携わる上でのやりがい(=メリット)を考えてみましょう。

やりがい①】学童のプログラムを一から作れる自由度の高さ

 既存の学童保育所では、活動の流れやルールがすでに整っている場合が多く、スタッフはその枠組みに従ってこどもたちをサポートすることが殆ど。すでにマニュアルやプログラムができているため安心・安定感がある反面、新しいアイデアを取り入れる余地は限られがちです。

 しかし新規オープンの場合は、まさに白紙の状態(※)からスタートします。
(※)フランチャイズ展開など、既にある程度の型が決まっている状態で新規施設が開所される場合はこの限りではありません。

 たとえば、
• 宿題の時間を「全員一斉型」にするか「自由選択型」にするか。
• 遊びを「外遊び中心」にするか「室内の創作活動重視」にするか。
• 季節ごとのイベントをどのように企画するか。
• 保護者とのコミュニケーションはどのように図っていくか。
• おやつは手作りにするか、既製品にするか。
こうした細かな運営方針を、スタッフ自身が意見を出し合いながら形作っていくことができるのです。自分の考えや理念、やりたいことがプログラムに反映される実感は、大きなやりがいになります。

 さらにオープン直後は「試行錯誤の余地」が大きいのも魅力です。こどもたちや保護者の反応を見ながら柔軟に調整でき、「現場に合った最適な形」を一緒に探していくことができます。教育・保育の現場で働く人にとって、この創造的なプロセスは大きな喜びとなること間違いなしです。


【やりがい②】こどもたち・保護者と共に作り上げる達成感

 新規オープンの学童では、そこで働くスタッフだけでなく、利用であるこどもたちや保護者にとっても「何もかもが初めて」の体験をすることになります。つまり、スタッフと利用者が同じスタートラインに立ち、居場所を共に作り上げていく関係になるのです。

 オープン直後は、保護者も「どんな学童になるのだろう」や「ここに預けて大丈夫だろうか」という不安を少なからず抱えているはず…。その中で保護者と話し合いをしながら学童をより良くするための方針を決めたり、こどもたちと試行錯誤しながら過ごし方を整えていったりすることは、まさに「共創」・「協働」の作業となります。

 やがて半年、1年と積み重ねるうちに、保護者から「この学童があってよかった」と言われたり、こどもたちから「ここで過ごすのが楽しい!」と笑顔を見せてもらえたりする瞬間が訪れるかもしれません。
ゼロから一緒に作ってきたからこそ、そのような瞬間に感じられる達成感は格別ですし、信頼関係も強固なものとなるはずです。


【やりがい③】苦節を共にしたチームの一員として成長できる喜び

 オープニングスタッフは「立ち上げを共に担った仲間」という特別な絆で結ばれます。立ち上げ初期ならではの大変さや混乱、様々な苦難を共に乗り越えることで、通常の職場以上に仲間意識が強くなり、チームワークが良い現場になることが期待できます。

 さらに、新規オープンでは役割分担が固定されていないため、自分の得意分野を活かせるチャンスが広がります。

 たとえば、
• 行事企画が得意な人は年間イベントをリードして運営していく。
• SNSに強い人は広報担当として施設の発信・広報を担う。
• 工作が得意な人は施設の装飾や工作イベントの中心として動く。
などの動きが考えられます。

 こうした多様なスキルを掛け合わせることで、チームとしての強さが増していきます。そして「立ち上げを経験した」という経験や「自分の強みを活かしながら仲間と協力して尽力した」という実績は、自分のキャリアを語る上でも大きな財産になります。

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新規オープンに入社する際の注意点は?

 多くのやりがいが得られることがわかったところで、入社前に知っておきたいオープニングならではの注意点(デメリット)も考えていきたいと思います。

注意点①】集客・広報活動の壁

 新規オープンの際にぶつかることになる現実的な課題は多くあります。その最たる例が「集客」の問題でしょう。

 学童保育所は地域密着型の子育て支援サービスであり、存在を認知してもらった上で保護者に契約してもらわなければ、利用者であるこどもは集まりません。特に民間学童は、公立の学童(公設学童保育所)と比べると知名度や安心感、利用料の安さで劣るため、積極的な広報が欠かせません。

 具体的には、「学校や地域へのチラシ配布」をしたり、「保護者説明会や施設見学」を開催したり、「SNSやHPを活用した発信」を継続して実施したりといった活動が求められるのです。

 このような広報活動を、経営陣や本部のスタッフだけではなく現場のスタッフ自身が担わなければならないことも多く、教育・保育現場を志した人にとっては「思っていた仕事と違う」と感じる場合もあります。集客が順調でないと経営に直結するため、プレッシャーも大きいのです。


【注意点②】経営の不安定さと制度の課題

 新規オープン直後の学童は、経営が安定するまで時間がかかります。特に民間学童は利用料に依存する割合が高く、入所児童が少ないと運営が厳しくなります。

 さらに、学童保育を取り巻く制度や補助金は自治体ごとに大きく異なります。補助の少ない地域では、経営努力に頼らざるを得ず、スタッフの雇用条件に影響が及ぶケースもあります。

 そのため、入社を検討する際には、
• 施設の経営母体の安定性はどうか。
• 自治体の補助制度はあるのか。
• 勤務条件や福利厚生の内容はどうか。
といった点を事前に確認しておき、納得できる条件・状況であるかを考えたり心構えをしておいたりすることが非常に重要です。

【注意点③】体力的・精神的な負荷

 新規オープン直後は、想定外のトラブルが日常的に起こります。例えば「こどもの人数に対してスタッフが足りない」という人数配置的な問題であったり、「設備や備品が整っていない」などのハード面の問題、「ルールが曖昧なため、想定以上に職員間の打ち合わせや話のすり合わせに時間がかかる」「保護者対応に追われる」などの時間の問題などが発生することが考えられます。

 一つひとつは取るに足らないような出来事であったとしても、このようなトラブルや状況が重なってしまうことで、長時間労働になったり、精神的に追い込まれるたりすることも少なくありません。こどもたちの安全を守るという責任は重く、どうしても日々の緊張感も増す傾向にあります。

「新規立ち上げ期は、ハードワークになる」という現実を理解し、それを受け止め乗り越えていく強い覚悟が求められます。


成功するための工夫・心構えは?

 では、こうした新規オープン時の困難を乗り越えるためには、一体どのような工夫や心構えが必要なのでしょうか。

① 柔軟性を持つこと

 新規オープンの現場では、マニュアルやルールがまだ整っていないため、日々の中で小さな軌道修正を繰り返すことが求められます。
 例えば、「このルールではこどもたちが動きにくそうだから少し変えてみよう」や「保護者からの要望が多いので、この関わり方を工夫してみよう」といったように、トライ&エラーを前向きに受け止めることが大切です。完璧な仕組みをいきなり目指すよりも、「まずはやってみて、改善する」という姿勢が成果につながります。

②共に働く仲間を信頼し、協力すること

 立ち上げ期は少人数で多くの業務を担うため、1人が抱え込みすぎるとすぐに疲弊してしまいます。そこで必要なのが共に働く仲間を信頼して「助け合いの文化」を意識的に築くことです。
 得意なことは積極的に担当し、苦手なところは遠慮なく仲間に頼るというように、チーム内で強みを活かした分担をすることで、グッと効率が上がり負担が軽減します。それぞれが自分の仕事にやりがいを持ちやすくなるというメリットもありますね。
 困ったときに「助けて」とヘルプを出せるかどうかは、非常に大切なことです。「弱みを見せてはいけない!」や「無理をしてでもがんばらなければならない!」という自分ひとりの努力は心身ともに消耗するきっかけとなりますし結果的に職場の作業効率も低下してしまうため、頑張りすぎないことを頑張りましょう。
 立ち上げの忙しい時期にこそ、スタッフ同士の信頼関係を意識して築いていくことが、長期的なチームワークを支える土台になります。


③経営的な視点を持つこと!

 現場スタッフであっても、新規オープンに携わる以上「経営」というキーワードからは逃れられません。特に民間学童では、利用者が集まらなければ運営が成り立たないため、自分たちの働きが施設の存続に直結します。
たとえば「SNSで宣伝できるよう日々の様子を写真や動画におさめる(利用者の同意は必須です)」ことや、「自分の言葉で施設の魅力をいつでも語れるように準備する」といった行動は、広報の一端を担う立派な経営貢献です。
 また、数字の動きに少し関心を持つことも大切です。「今月は見学予約が何件あったのか」や「来年度の入所予定人数はどのくらいなのか」といった情報を知ることで、自分の行動に目的意識が生まれ、仕事に責任感と納得感を持ちやすくなります。

④セルフケアを意識すること

 立ち上げ期は体力的にも精神的にも負担が大きく、走り続けているうちに気づいたら疲れが限界に達していた…という状況に陥りやすいものです。だからこそ、自分の健康管理を意識的に行うことが成功の条件になります。
 具体的には、「週に一度は自分だけの時間を必ず確保する」や「職場で起きたことを日記やメモに書いて頭を整理する」、「ストレッチや軽い運動を習慣にする」などの、小さな工夫が有効です。
 また、同じ立ち上げに関わる仲間と「愚痴ではなく前向きな振り返り」を共有することも、ストレスを溜めすぎないための大切な仕組みです。セルフケアを軽視せず、「まず自分が元気であることがこどもたちの安心につながる」と考えることが重要です。


まとめ

 新規オープンの学童保育に入社することは、安定を求める人にとってはリスクが伴う選択かもしれません。集客の壁、経営の不安定さ、立ち上げ期の負荷など、課題は確かに存在します。
 しかし同時に、白紙の状態から施設を作り上げ、こどもたちや保護者と一緒に信頼関係を築き、仲間と共に未来を形にしていく経験は、他では得られない大きなやりがいです。

 「自分の力で学童を育てたい」や「教育・子育て支援の現場でもっとチャレンジをしたい」という思いを持つ人にとって、新規オープンへの参加は大きな成長のチャンスです。困難を超えた先にある「こどもたちの笑顔」と「利用者に感謝されるような居場所づくりの達成感」は、挑戦した人にしか味わえない特別なものなのです。

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