療育分野における保育士の需要増加

保育士は子どもたちの成長と学びを支援する必要不可欠な存在です。その中でも、療育分野では、障害を持つ子どもたちの成長を支援する保育士の需要が特に高まっています。最近では、発達障害や発達の遅れを持つ子どもの診断数増加が報告されており、この分野での支援の必要性がますます注目されています。

• 発達障害の増加：最近の調査によると、小中学生の約6.5%が発達障害を持つとされています。　
  • 参考：文部科学省 特別支援教育の現状
• 保育士の役割：保育士は、子どもたちの発達段階に応じた適切な支援を提供することで、家庭や学校での生活をより充実させる役割を担っています。特に児童発達支援においては、児童福祉事業で5年以上の実務経験を持つ保育士は専門的支援加算に該当する専門職として扱われます。

こうした背景から、保育士が療育分野にキャリアチェンジすることは、社会的にも大きな意義を持つと言えるでしょう。

保育士が療育業界へ転職することのメリット

1. 障害児や発達に遅れがある児童への支援を学べる

療育分野で働くことで、障害児支援の専門知識やスキルを学ぶことができます。例えば、自閉症スペクトラム障害（ASD）や注意欠如・多動性障害（ADHD）など、さまざまな特性を持つ子どもたちへの具体的な支援方法を身につけることができます。

2. 収入の増加が期待できる

保育士の給与は一般的に低いとされますが、療育分野では専門性が求められる分、給与が高い傾向にあります。また、資格を取得することでさらなる収入アップが期待できます。

3. 専門性が身につき、将来的なキャリアの幅が広がる

療育分野での経験を積むことで、保育士としての専門性が高まり、将来的には管理職やコンサルタントとしてのキャリアパスも考えられるようになります。

療育の仕事内容

療育分野での主な仕事内容は、障害を持つ子どもたちへの個別支援です。具体的には以下のような業務が挙げられます。

• 日常生活のサポート：食事や着替えなど、基本的な生活スキルを習得するための支援を行います。
• 社会性の発達支援：集団活動を通じて、他者とのコミュニケーション能力や協調性を育みます。
• 感覚統合療法の実施：感覚の過敏や鈍感といった特性に応じて、適切な刺激を提供し、子どもたちの感覚機能を調整します。
• 保護者へのサポート：家庭でも支援を継続できるよう、保護者へのアドバイスや情報提供を行います。

療育分野の具体的な転職先

1. 児童発達支援センター

障害を持つ未就学児を対象とした施設で、各地域における支援を前提としています。各地域における関係機関などと連携した地域支援を行うため、比較的規模が大きい事業所です。

2. 児童発達支援事業所

児童発達支援センターと同様に障害を持つ未就学児を対象とした施設ですが、各地域に複数ある場合が多いです。児童発達支援センターとの違いがややわかりにくいですが、地域の家庭が通いやすい事業所として、児童それぞれの特性や個性に合わせたきめ細かい支援を行います。

3. 放課後等デイサービス

学校が終わった後や休日に利用される施設で、小学生から高校生までの幅広い年齢層を対象としています。学習支援や余暇活動を通じて、子どもたちの自立を促します。

4. 居宅訪問型児童発達支援事業所

家庭を訪問して支援を行うサービスです。障害により外出が困難な就学児や、行動障害などにより放課後等デイサービスにおける集団での支援が困難な児童に対して、家庭環境に応じたきめ細やかな支援をします。

5. 障害児入所施設

家庭での生活が難しい0〜18歳までの子どもたちが生活する施設で、日常生活全般をサポートします。児童発達支援や放課後等デイサービスが「障害児”通所”支援」なのに対し、障害児”入所”支援ですので、24時間体制での支援が求められます。

保育士が療育分野で取得が目指せる資格

療育分野で働く際に役立つ資格を取得することで、さらに専門性を高めることができます。代表的な資格として以下が挙げられます。

• 児童発達支援管理責任者：療育分野の施設で管理業務を担当するための資格です。一定の実務経験が必要ですが、取得することでキャリアの幅が広がります。

まとめ

保育士から療育業界へのキャリアチェンジは、社会的意義が高く、自身のキャリアアップにもつながる選択肢です。障害児支援の専門知識を学び、収入を増やしながら、将来的なキャリアの可能性を広げることができます。

療育分野でのキャリアに興味がある方は、まずは自分に合った転職先を探し、必要な資格取得を目指してみましょう。そして、専門の転職エージェントを活用すると、ミスマッチのないキャリアチェンジを実現できる可能性が高まるかもしれません。